2025年7月24日
第27回参議院議員選挙は、7月21日全議席が確定しました。
私たちが推薦した水岡俊一さん(比例代表)、勝部賢治さん(北海道選挙区)、小島智子さん(三重県選挙区)は、現退一致のとりくみで「教育の議席」を確保しました。今後の国会における日政連議員の活躍を期待するとともに、今後の私たちの選挙のとりくみには、課題を残したとも言えます。
与党の自民・公明両党は、合わせて47議席と19議席減らし、非改選議員と合わせて全体の過半数を割ることとなりました。結果として衆議院とともに少数与党となり、今後の政権運営は不明瞭な状況になっています。
物価高に苦しむ国民は「減税」を掲げる野党への支持を選択しました。裏金問題は、大きな争点にこそならなかったものの、政府自民党への不信感は拭い去ることはできませんでした。利益誘導型の従来の政治手法はすでに過去のものとなりつつあり、また、「ひめゆり学徒隊」や「奥能登地震」をめぐる失言などは、政府与党が、市民の思いに寄り添わぬとの印象を与えました。与党の敗北には、明らかな要因があったと言えます。
一方で、国民民主党や参政党が台頭し大躍進しました。「手取りを増やす」「日本人ファースト」などの耳新しい言葉は、SNSの中を走り回りました。根拠に乏しい誤った情報が正される前に拡散し、声を荒げたような既成政党への批判が跋扈しました。これらは、陰りゆく日本経済のなかで将来をしっかりと確信できない若い世代の心をわしづかみにしたと言えます。
ヨーロッパ諸国やアメリカを席巻する排外主義の政治的流れは、ポピュリズムの手法によって大きな勢力になりつつあり、それは、近代市民社会が不断の努力によって築き上げてきた社会の理想を叩きつつ拡大しています。今回の参議院議員選挙においても、外国人の問題が争点とされました。外国人があたかも優遇されているとの主張や日本社会では外国人より日本人が優先されるべきとの主張は、どれをとってもしっかりとした根拠は示されていません。現在を捉えることなく将来を見据えることもない排外主義の横行を許してはなりません。
今回の参議院議員選挙では、改憲勢力が台頭したことも注視しなくてはなりません。国民民主党は、これまでも憲法審査会において強く改憲を主張してきました。議席を大きく拡大した参政党は、本年5月に「新日本憲法」(構想案)を発表しています。その第1条は「日本は、天皇のしらす君民一体の国家である」と記され、第4条では「国は、主権を有し、独立して自ら決定する権限を有する」としています。参議院の憲法調査会は議論を慎重に進めてきたが、より踏み込む事態も懸念されます。
私たち日退教は、今後とも「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンの下、平和な日本を形成する主権者としての国民教育の充実を求めるとともに、日本国憲法が求める社会の実現に向けてとりくんでいきます。